2011/11/25

21 法律事務所内のブランディング(法的トラブルからの「更生」)


21 法律事務所のブランディング4-事務所内のブランディング(法的トラブルからの「更生」)

法律事務所のマーケティング・弁護士のマーケティングの観点から考えたとき,そのブランディングは,外へ向けたものだけではありません。事務所内のブランディングも考えなければなりません。
それは,来所された相談者,依頼者に向けてという意味と,事務所のスタッフ自身に向けてという意味があります。

今回は,まず,来所された相談者,依頼者に向けてのブランディングの第1回です。
なのに,サブタイトルが法的トラブルからの「更生」???と思われた方,最後まで読んでいただければ,何となく感じは伝わるかと思います。実は,これ,2~3日前に思いついたフレーズです。

以前,「人を介しての広報」(13)でふれましたが,原総合法律事務所では,そのマーケティング戦略上,全ての依頼者,更には相談者も「キーマン」と位置付けています。受任に至った人はもちろん,受任に至らなかった人も,また何かあれば気軽に原総合法律事務所に来てもらえるような,更に周囲に困った人がいれば原総合法律事務所を紹介してもらえるような事務所になることを目指しています。

それまで原総合法律事務所のことを知らない人を,原総合法律事務所までアクセスさせることは容易ではありません(もちろん,そのための努力は続けています。)。
しかし,一度,原総合法律事務所の法的サービスを受けた人は,そこで満足,納得を得ていれば,リピーターになってもらえますし,周囲にも原総合法律事務所を紹介してもらえます。
不特定多数の人たちに広報するよりは,ずっと効率的,効果的な広報です。

そのためには,事務所に来られた相談者,依頼者に向けてのブランディングが考えられなければなりません。

ここでのキーワードは,相談者,依頼者の満足であり,納得です。
結果として勝ったのか,負けたのかにかかわらず,相談者の望む結果にそったアドバイスができたのか,できなかったのかにかかわらず,満足,納得を得ることは可能ですし,満足,納得を提供しなければなりません。仮に,結果として勝ったとしても,また,相談者の望む結果にそったアドバイスができたとしても,相談者,依頼者に不満が残り,納得が得られなければ,その相談者,依頼者は,二度と原総合法律事務所には来ないはずです。
勝ち負けでいえば,半分は負けるわけですから,負けるにしても,正当に負けて,負けることに納得してもらわなければ,その相談者,依頼者は,もう原総合法律事務所はもちろん,どんな弁護士のところも訪れないでしょう。

最近,弁護士の仕事は,経済的な結果ではなく,法的トラブルから「更生」してもらうことだと認識を新たにしているところです。
勝ち負けにかかわらず,弁護士の法的サービスを受けることで法的トラブルから「更生」できた人は,また法的トラブルに遭えば,法律事務所に来てくれるのです。

では,そのためにどうすればいいかといえば,何かテクニックやマニュアルがあるわけではありません。
もちろん,法的知識やノウハウが豊富であることは前提ですが,その上で,上から目線ではなく,真摯に話しを聞き,持てる知識やノウハウを総動員して,解決方法を考えることです。それでも「だめ」であれば,相談者,依頼者は,ほとんどの場合納得するというのが,24年近くに及ぶ経験の教訓です。
面倒くさいとか思ったり,やりたくないとか思うと,すぐに相談者,依頼者には伝わるものです。そういう気持ちで対応をされれば,相談を受けても,依頼しようとは思わないでしょう。
また,マニュアル類で要領よく答えたり,書面を書くと,不思議とその「手抜き感」が相談者,依頼者に伝わるものです。

やはり,問題はモチベーションであり,真摯さであり,謙虚さだと再確認しています。圧倒的な努力がないところに信頼は生まれませんし,ブランディングはできません。法律事務所のマーケティングは,テクニックの問題ではないのです。逆に,新人であっても,圧倒的な努力があれば,テクニックどうのこうのという問題ではなく,経験を積んでいく中で,自然にブランディングされていくのです。

ちなみに,そうやって真摯に対応していると,依頼を受けたときには,問題があるようにも思われた依頼者が,変わっていくこともありました。まさに,法的トラブルからの「更生」です。