2011/11/18

19 ブランドのアピール(法律事務所の場合)


19 法律事務所のブランディング2-ブランドのアピール

前回,法律事務所のブランディング編1で,事務所の軸=理念(ストーリー)に貫かれた実践の歴史(ヒストリー)が,法律事務所のマーケティング戦略上,ブランディングに不可欠なことをお話ししました。
事務所の理念がはっきりしなかったり,軸がぶれていたりすれば,もちろん,そんな法律事務所はブランドにはなり得ませんし,圧倒的な努力に裏打ちされた実践の歴史がなければ,そんな法律事務所もブランドにはなり得ません。

しかし,理念実践の歴史があれば,ブランドとして十分かといえば,原総合法律事務所にとっては,まだ不十分です。
それは,原総合法律事務所のマーケティング戦略の基礎となる理念が,「いつでも,どこでも,だれにでも 上質な法的サービスを。」広く市民,中小企業に提供することだからです。
原総合法律事務所のブランドを広く市民,中小企業に浸透させなければなりません。
そこにはアピールの工夫が必要となります。

この点は,既に広報に関わって既に数回に分けてふれたことがあるので,ブランディングという観点からのまとめです。

まず,ブランディングに重要な広報は,以前,06 広報を考える1-効果のとらえ方で分類したタイプⅠのかなり間接的な広報です。直接的に相談や依頼に結びつくわけではないけれども,原総合法律事務所の存在を地域に行き渡らせるための広報,例えば,テレビ・ラジオのCM,新聞・広報誌の広告,電車・バスの広告等がそれです。
これら媒体は,一定期間は継続的に行わなければ,効果はありません。
そこで,費用とのバランスを考えることになりますが(そこで,何といっても高額なテレビは除外されます。),経験的には,地方では,市の広報誌ラジオのCMなどがお勧めかと思います。特に,ラジオのスポットのCMは,地方では,移動に車を使うことが多く,結構聞かれています。また,こういったスポットのCMを流していると,パブリシティというおまけで番組枠がもらえたりします。原総合法律事務所では,今は月1回ですが,5分間の「ラジオ法律相談」の枠を持っており,これも結構聞かれています。

ところで,各種の新聞や広報誌などに広報を打つ場合,気をつけなければならないのが,07 広報を考える2-統一されたイメージで言ったように,イメージを統一することです。
各媒体毎に広告代理店が異なるため,業者任せにすると,デザインやキャッチコピーがバラバラになり,同じ法律事務所と認識されないおそれがあります。なかなか業者にはイメージが伝わらず,経験的には,案を数回手直ししないと思ったイメージには仕上がってこないものです。ここは,安くないお金を出すわけですから,手間をかけてでも,校正を重ねるべきです。
最近は,ロゴマークは持っている法律事務所も増えてきましたが,更に進んで,広報のデザインを統一するわけです。具体的には,フォント,色調,背景に具象を使うのか,抽象を使うのか,曲線を使うのか,直線だけにするのか等を制限します。
そして,文字情報は,できる限り少なくすべきです。この手の広報は,どうせ読み流されるだけで,熟読されるものではありません。極論すれば,事務所名さえ記憶に残すことができれば,後は,HPや電話帳から検索可能です。
さらに,具体的に表現するのは難しいのですが,感性,センスが統一されていることも必要です(このあたりは,デザインの優れた広告等を見て,自らの感性,センスを磨くしかありません。)。

この方向を徹底すると,<番外編3>のイメージポスターになるわけですが,さすがに,原総合法律事務所でも,このイメージポスターは,まだ事務所内に貼り出しているだけで,外には貼り出していません。しかし,いずれは,これに近いものは試してみたいと思っています。
ちなみに,最近の原総合法律事務所の広報のイメージが,このイメージポスターに集約されていると説明すると,その感性,センスを分かってもらえるでしょうか。

そして,このイメージポスターの手法は,実はブランディングという観点からは他の広報媒体でも有効なのではないかと考えています。
世のブランドと言われる商品やサービスを見ると,一方でその商品やサービスの内容をストーリーをもって説明する広報もあれば,他方で,ほとんど文字情報を含まないイメージだけの広報もあります。(このあたり,マネージャーのブログでもふれています。→NO61 イメージ作りのススメ
このイメージだけの広報は,インパクトをもって人の意識にその商品やサービスを残すという意味で,ブランディングにとっては有効な手段だと思えます。
ただ,法律事務所では,そのような広報を行っている例は,見当たりません。
確かに,実践の歴史=ヒストリーがなければ,イメージだけの広報を行っても,むしろ軽薄な印象を与え,逆効果でしょうが,既に実践の歴史のある法律事務所であれば,イメージだけの広報に踏み切ることも考えていいと思います。

そこで,原総合法律事務所では,まず,イメージポスターを作ってみましたが,同様の手法の他の広報も考えています。その際は,ブログ上でもお知らせしたいと思います。