2011/09/19

06 広報の効果のとらえ方

06 広報を考える1-効果のとらえ方

原総合法律事務所の理念は,「法的サービスにアクセスできていない市民,中小企業に対し,…法的サービスを提供すること」ですから,広報が重要なことはいうまでもありません。これまで顧問としても,プライベートでも,弁護士と全く関わりがない市民,中小企業を法律事務所につなぐのが,広報の役割です。
このことを,原総合法律事務所のマーケティング戦略では,「(b) 質の高い法的サービスを提供できるという情報を広く法的ニーズをもっている人のところに届け(る)」とまとめています(03参照)。


ところで,広報の効果の表れ方は,広報の媒体や内容によって差があるようです。経験的な分類ですが,間接的なものから直接的なものまで,3つのタイプに分けてみました。

<タイプⅠ かなり間接的>

まず,多くの人に,原総合法律事務所という事務所の名前を覚えてもらい,いつか法的なトラブルに巻き込まれたときに,「そういえば,原総合法律事務所という事務所があったな。」と思い出してもらうために行う広報があります。
具体的には,テレビ・ラジオのCM新聞・広報誌の広告電車・バスの広告等がそうでしょうか。

もちろん,これら媒体での広報が,すぐに相談に直接結びつく場合もあります。例えば,多重債務(過払)の広報の場合,それを見たから,聞いたからという相談の問い合せもあります。しかし,それは例外的なケースです。
この範疇の広報は,一般に単発では効果が期待できないので,一定期間は継続的に行い,事務所名が多くの人の印象に残るまで続ける必要があります。広報を打てば,すぐに相談に結びつくというものではありませんから,この広報による相談がないからといって,止めてはだめです。
また,印象に残ればいいのですから,長文の説明は不要で,シンプルで,インパクトのあるものが望まれます。ロゴやキャッチコピーも有効です。

<タイプⅡ やや直接的>

タイプⅠより更に進んで,限られた人に,読んだり,見たり,聞いたりしてもらい,より強く記憶し,保存しておいてもらうための広報があります。
具体的には,リーフレットガイドブック等がそうですが,DVDラジオ番組への出演もこれにあたると思います。また,ニュースとしての記事になることも,ここに分類されるでしょう。

例えば,相談は受けたけれど,今回は事件の受任にまでは至らなかったという人には,リーフレット,ガイドブック等を持って帰ってもらいます。様々なセミナーを行うときにも,やはりリーフレット,ガイドブック等を配ります。こういったものは,いざというときのために大切に保管し,後日,自分や周りの人がもめ事に巻き込まれたとき,きっとそれを見てもらえるはずです。

また,原総合法律事務所では,相続・遺言についてはDVDも作っていて,セミナーでは上映しています。ラジオ番組の出演もそうですが,こういったものは,単なるCMよりも強い印象を与え,タイプⅠの広報より有効であって,ここに分類するだけの意味があると思っています。

さらに,事務所の取組みが,広告ではなく,記事として掲載されれば,その効果は広告とは比較になりません(しかも無料です。)。原総合法律事務所では,今年の8月から交通事故専門の相談窓口をスタートし,3回まで相談を無料としましたが,この意義を含めサービスの紹介を各メディアに投げ込んだところ,ある新聞が記事として取り上げてくれました。以後,交通事故の相談は顕著に増えています。

<タイプⅢ 直接的>

最後に,実際に法的なトラブルを抱えた人が,どこかの法律事務所に相談に行こうと思って見る広報があります。
ホームページ電話帳がその典型です。

既に相談に行こうと思っている人が対象ですから,有効な広報媒体であることは間違いありませんが,他の法律事務所と比較されるので,他事務所との差別化が必要です。
タイプⅠの広報で,事務所の名前やロゴマークなどが印象付けられていれば,この他事務所との差別化でも,まずは優位に立つことになります。

しかし,このタイプの広報を見る人は,更にそれぞれの事務所の内容を比較します。
電話帳の場合,わずかな情報量しか掲載できませんが,その中で,事務所のイメージを伝えなければなりません。
HPの場合は,情報量に制約はありませんから,その分野に詳しいことを分かりやすく伝えなければなりません。原総合法律事務所のマーケティング戦略で「HPの充実(圧倒的な情報量と分かりやすさ)」(03)と書いたのは,この意味です。

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このようにいくつかのタイプに分かれる広報ですが,統一したイメージのもと,これらを平行して,相互に関連付けて行わなければ効果は十分に表われないでしょう。
その全体に目配りをする広報責任者が必要になってくると思うのです。