2012/05/27

28 法律事務所におけるネットワークの価値


28 ネットワーク編1-ネットワークの価値

さて,法律事務所のマーケティングのブログを再開すると宣言してしまいましたが,再開後,まず何をテーマにしようかと…。

以前のテーマを続けるのにも読み返すのが大変なので,まだまとめて書いてはいないけれど,何度も出てきているネットワーク編として書いていくことにしました。
2月にネットワークながさきのお困りごと案内ダイヤルを始めたばかりの旬なテーマでもありますし,8月にはネットワーク九州のアンテナオフィスを始める予定の更に旬なテーマです。
原総合法律事務所では,年頭に,その時点での具体的な目標を年間スローガンとして掲げていますが(原総合法律事務所の理念と年間スローガン),今年(2012年)の年間スローガンは「ネットワークの創造」です。

また,最近,何人かの弁護士と法律事務所の課題や将来像を話すことがありましたが,表現は違っても,同じ方向をイメージしていることが分りました。やはりキーワードは「ネットワーク」です。
それも一様に「緩やかなネットワーク」を目指しているように思いました。そこでは,「ライトな関係」とか,「見えない組織」とか,「ルーツ」とか,「ファン」,「キーマン」といった言葉が使われていました。それは,かつての「顧問」や「紹介」という言葉から思い浮かべる「ネットワーク」とは異なったイメージを含んでいるように思います。(このことは,後日,もう一度考えてみます。)

さて,原総合法律事務所では,そのマーケティング戦略を次の3つの要素で組み立て,検証しているといいました(03 summary:原総合法律事務所のマーケティング戦略)。
(a) 質の高い法的サービスを作り,
(b) 質の高い法的サービスを提供できるという情報を広く法的ニーズをもっている人のところに届け,
(c) 法的ニーズのある人が,「いつでも,どこでも,だれでも」相談を受け,依頼できるようにする。

ネットワークは,この3要素に次のように関わると考えています。そこに,法律事務所のマーケティングにおけるネットワークの価値があるのです。

(a) まず,関連する様々な専門家や行政等とのネットワークがあれば,そこへつなぐことにより,またそこから情報を得たり,そこへ相談することにより,法的サービスの質を高めることができます。
例えば,弁護士は,福祉には詳しくないのが普通ですが,高齢者などの相談では,福祉の知識が必要になることが多いと感じています。社会福祉士など福祉の専門家や行政の福祉を扱う部署とのネットワークがあれば,専門家や行政につないだり,また,専門家や行政に尋ねたり,相談することができます。その結果,弁護士の提供する法的サービスの質が上がるのです。

(b) 原総合法律事務所にたどり着ければ,何らかの法的な解決を進めることができるとしても,そのことを知っている市民はまだまだ少数です。
一方的に流すだけの広報(テレビ,ラジオ,新聞,広報誌,ポスター等)では,原総合法律事務所の名前やイメージを意識の片隅に残すことはできても,直ちに,原総合法律事務所に相談しようと思わせることまではできないのです(06 広報を考える1-効果のとらえ方)。
しかし,ネットワークを介しての広報は,もっと直接的で効果的です。例えば,別の専門家に相談に行った人が,実は法的問題を抱えていたとき,そこから原総合法律事務所を紹介してもらうことの有効性はいうまでもありません。さらに,そのネットワークは,専門家に限るものではありません。かつての依頼者,相談者など,原総合法律事務所の「ファン」が,周りの人と話していて法的問題ではと思ったときに原総合法律事務所を紹介してもらうことで,ネットワークは一挙に広まります(以前,13 広報を考える8-人を介しての広報でふれたことがあります。)。原総合法律事務所のホームページやブログの読者が,周りの人に紹介するような「見えない組織」を介しての相談も考えられます。

(c) 法的ニーズのある人が,「いつでも,どこでも,だれでも」相談を受け,依頼できるようにするというのは,言い換えれば,弁護士へのアクセスを容易にする取組みです。
そのために,まず,全ての法律事務所で取り組んで欲しいのが,即日相談であることは,繰り返し述べてきました(04 即日相談に応じる覚悟05 即日相談実現のための意識改革とテクニック26 もう一度考える「即日相談」)。
また,ネットワークの問題としていうと,特定の分野について,「質」の問題を満たした法的サービスを提供できる法律事務所を市民の側から探すというのは容易なことではありません。その特定の分野について,質の高い法的サービスを提供できる法律事務所のネットワークがあれば,その存在が市民に広がり,市民のアクセスは容易になるでしょう。
また,ネットワーク九州のアンテナオフィスは,まさに,九州と関東を結ぶ法的ニーズに対応することで,弁護士への市民のアクセスを容易にしようとするネットワークです(詳しくは,後日ふれますが,簡単にはこちら。)。

2012/05/20

法律事務所のマーケティングブログ再開します!


<お知らせ編・決意編かも?>ブログ再開します!

しばらく(長い間),法律事務所のマーケティングのブログの更新をサボっていました。愛読者の皆さん(多分いるでしょう,何人かは…。更新をサボっている間もカウント数が伸びているのを見ると。),申し訳ありません。

中途半端なところで中断していますし,この間にも考えが深まった(ような気がする)ところもありますし,また,3か月も休めば新しい取組みも進んでいます。
ということで,そろそろ再開しようかなと…。
しかし,そんなに頻繁には無理かも(とリスクヘッジしておきます。)。

今,ちょっとした弁護士の集まりに来て,法律事務所の将来や目の前の事務所財政の問題などを話したりしています。
そこで,このマーケティングブログやマネージャーのマネジメントブログ事務局の改善提案ブログ原総合法律事務所のホームページなど,何人かの皆さんから読んでいるよというお言葉とコメントもいただき(いつになったら更新するのかというプレッシャーも感じたわけですが。),これは再開しなければと決意した次第です。

今回は,そこで感じたことを少しだけ。
事件が減ったとか,事件の単価が低下したという目の前の現実はあるわけでしょうが,閉塞感に囚われている,あるいはそれが言いすぎであれば,展望を見出せない事務所の多いことを改めて感じました。

ちなみに,原総合法律事務所では,数年にわたる事務所全体でのマーケティングの取組みの中で,少なくとも相談数,受任事件数とも減ってはいません。確かに,個々の事件ごとの弁護士報酬は減っているのかもしれませんが,そこにこだわり前へ進めなくてどうするという感じです。

いまだ弁護士にたどり着けないのだけれど,弁護士の法的サービスを受けることができれば,権利や利益が守られ,社会正義を取り戻せる人たちがいるという現実から出発すべきです。むしろ,今,弁護士にたどり着けている人たちは,一部の人たちだというのが現実です。
私たちは,つながりのあるところから紹介されてくる事件だけを扱って,済ませてきたように思います。
しかし,より多くの人たちは,弁護士とのつながりがない人たちです。
その人たちを「放置」しておいて弁護士の使命である基本的人権の擁護や社会正義の実現はないと思うのです。

そういう弁護士とのつながりのない人たちを弁護士につなぐことが,原総合法律事務所が考えるマーケティング戦略の目的です。
しかし,一事務所ができることは,ごくわずかなことです。
同じ考え方の弁護士,法律事務所が全国に増えることを原総合法律事務所は願っています。
そのために,法律事務所のマーケティングのブログや,マネジメントのブログでの発信を続けていきたいと考えています。また,私たちの話しでよければ,いろんなところで話していきたいと考えています(いくつかのオファーも受けています。)。

ただ,本来の業務の合間をぬっての情報発信には限界を感じてきているのも事実です(今回も長期にわたりマーケティングのブログが更新できなかったわけですし。)。法律事務所のマーケティングや法律事務所のマネジメントの情報発信を強化するには,その「経済基盤」の強化も考えなければと思ってきています。例えば,ホームページやブログの制作を含む法律事務所の広報をコンサルティングしたり,法律事務所のマーケティングやマネジメントをコンサルティングしたり。そのための活動の主体も整えたところです。

ちなみに,こんな原総合法律事務所のマーケティングやマネジメントの話しを少ししただけでも,真剣に耳を傾け,参考にしたいとおっしゃる方が大勢おられたことは,やはり嬉しかったのです(そういう反応が,ブログ再開の後押しになるのでした。)。