2011/11/20

20 法律事務所ブランディングのよくある質問


20 法律事務所のブランディング3-ブランディングのよくある質問

法律事務所のマーケティング戦略(弁護士のマーケティング戦略)に関わって,私がパネリストを務めた日弁連第17回弁護士業務改革シンポジウム第1分科会の打合せや当日のパネルディスカッションで出された質問です。
法律事務所(弁護士)のマーケティングやブランディングについて,本質的な点に関わる疑問だと思います。

Question
若手でもなく,既に多くの事件を扱っていたのに,更にブランディングし,マーケティングに取り組もうとしたのはなぜですか。

Answer
原総合法律事務所が,ブランド化を議論し,マーケティングの視点を確立したのが,2008年ですから,私が弁護士になって20年,独立してからも16年が経っていました。
既に,消費者問題や高齢者関係,また医療過誤や交通事故については,かなりの経験も積んでいましたし,信頼も得ているという自負もありました。
しかし,まだまだ,原総合法律事務所の法的サービスを届ることができていない市民,中小企業が多かったわけで,そこに私たちの法的サービスを提供するための取組みが必要だと考え,そのためにブランディングやマーケティングの視点を取り入れたのです。

Question
都市部と地方で,どちらがブランディングが難しいでしょうか。

Answer
地方で,基本的人権の擁護や社会正義の実現という弁護士の使命をふまえ,真摯に業務に取り組めば,自然に信頼を得て,ブランディングできます。地方の方が,ブランディングは容易です。
確かに,その地域の人口を弁護士数で割ると,弁護士1人当たりの人口は地方の方が多いのでしょうが,法律事務所,弁護士の絶対数が少ないので,「特定」の弁護士が目立ちます。例えば,メディアに載る機会も地方の方が圧倒的に多いのです。また,口コミを通じて「特定」の弁護士の業務に取り組む姿勢が,より容易に広がります。
「大勢」の中に埋没せず,「特定」の弁護士の存在感が示せる地方の方が,ブランディングが容易なのは明らかでしょう。(ただし,逆に,「特定」の弁護士のマイナスイメージも容易に広がり,なかなか忘れられないのが地方です。)

Question
一つの法律事務所がマーケティングを進めると,他の法律事務所との間で「顧客の奪い合い」になるではないでしょうか。

Answer
全ての法的トラブルを弁護士が扱っているのであれば,ある法律事務所が「顧客」を獲得すれば,他の法律事務所の「顧客」が減ることになり,「顧客の奪い合い」になるのはそのとおりでしょう。
でも,現実には,日弁連等の統計を持ち出すまでもなく,法的トラブルを抱えながら,弁護士にたどり着かない市民,中小企業は多いのです。これまで弁護士にたどり着いていなかった市民,中小企業に弁護士の法的サービスを提供するのは,新たな「顧客の創造」であって,「顧客の奪い合い」でないことはいうまでもありません。
そして,原総合法律事務所は,まさにこれまで弁護士の法的サービスを受けたことがない層に弁護士の法的サービスを届ることをマーケティング戦略の目的とし,そのためにブランディングを進めているのです。

Question
大々的に広告をうち,多くの事件を受任している法律事務所で,事件処理が丁寧でなかったり,不適切ではないかと思うところがあるのを見ると,マーケティングやブランディングにはマイナスイメージがつきまとうのですが。

Answer
マーケティングは,顧客の満足を目的としますし,ブランディングは,顧客の信頼を前提とするのですから,事件処理が丁寧でなかったり,不適切では,そもそもマーケティングとはいえませんし,もちろん,ブランドにもなり得ません。
私たちが進めるマーケティングは,法的サービスを必要とする市民に適切な法的サービスを提供しようとする仕組みで,その結果,市民の信頼を得ているのが,私たちが考えるブランディングされた法律事務所です。