2011/12/04
23 ハード面のブランディング
23 法律事務所のブランディング6-ハード面のブランディング
法律事務所のマーケティング・弁護士のマーケティングの観点から,事務所内の,来所された相談者,依頼者に向けてのブランディングを考えてきました。
今回は,前回までのソフト面に続き,事務所や相談室の作りなどハード面のブランディングについてです。
私たちが提供する法的サービスは,弁護士の法的知識やノウハウ,経験に加えて,事務局スタッフの対応というソフト面が核となることは当然ですが,更に加えて,事務所や相談室の作りなども評価されていることに気を配るべきです。
ただ,このハード面のブランディングは,「資金」という大きな制約があります。いかに安価に,「ここは信頼できそう。ここだったら相談に来たい。事件を依頼しよう。」と思わせるかがポイントです。
まず,事務所の場所・立地です。
交通の便がいい方が望ましいのはいうまでもありません。そういう意味では,従来の裁判所の近くというのでなく,駅周辺といった交通の要地に事務所を開く例が増えているのは,理解できるところです。
また,出入口にも気を配るべきです。入り口が目立ちすぎると,相談者は,入りづらいものです。入り口は目立たなくても,あまりに人通りが少なかったりすると,その付近にいるだけで法律事務所に行くことが分かってしまい,やはり好ましくありません。
それなりに人通りもある地区で,法律事務所以外のテナントも入っているビルの一室が入りやすいようです(1階は入るところが見えるのでNG)。
事務所の内装や什器備品などにも気を遣うべきです。
数十年前のいかにも法律事務所という雰囲気の漂う応接セットに書棚というのはどうでしょうか。
威圧感のある作りでは,悩みを抱えた相談者,依頼者が萎縮し,ますます気持ちが落ち込んでいくような気がします。明るくシンプルで清潔感のある方がいいでしょう。
法律書が並んでいたりするのは,威圧感があるような気がしますし,弁護士にとっても,相談が入っていると,自由に本を取ることができず不便です。
また,機能的であることも必要で,応接テーブルは,この点でもメモが取りにくく好ましくありません。やはり,会議用の机と椅子が使いやすいと思います。なお,机は広い方が資料を広げやすいのはもちろん,対面する相手の手が届かない点で,セキュリティの面からも望ましいと思います。
原総合法律事務所では,悩みを抱えた相談者,依頼者が来られるわけですから,できるだけ明るく,白を基調とした相談室の作りにして,できる限り,物を置かないようにしています。
こんな感じです。
ちなみに,受付もイメージを統一しています。
もちろん,プライバシーが守られることも重要で,他の相談者や訪問者と顔を合わさない配慮が必要です。
声も漏れないようにしたいのですが,現実的には,壁を天井まで立ち上げても,声は漏れるものですし,防音まで行うとかなり高価です。
原総合法律事務所でも,間仕切りは天井との間に隙間があるのですが,相談室の間に通路を挟んだり,またBGMを流すようにして,少しでも他の相談の声が入らないようにしています。
また,スタッフの話し声や電話の声が漏れるのも避けたいものです。特に,電話は他の事件の情報が漏れる危険があります。
ちなみに,相談者から見えるところに,他の事件の記録が置いてあったりする事務所がありますが,プライバシーの観点から絶対に避けるべきです。
これらの基本をふまえた上で,相談室の差別化を図ることも有効です。
原総合法律事務所では,子どもさんと一緒に相談を受けることができるように,キッズルームがあります。
さらに,最近,レディスルームを設けました。他の相談室より上質感のある内装で,間接照明を使い,女性の好みそうな小物を置いたり,アロマを焚いたりしています。(マネージャーのブログでも紹介されています。→こちら)