2011/12/11

24 内部ブランディング(Internal Branding)


24 法律事務所のブランディング7-内部ブランディング(Internal Branding)

法律事務所のマーケティング・弁護士のマーケティングの観点から,事務所内のブランディングについて,そのうち来所された相談者,依頼者に向けてのブランディングを3回にわたって考えてきました。
今回は,事務所内のブランディングのもう一つの側面,事務所のスタッフ自身に向けてのブランディングです。

私たちは,経験的に,事務所内の弁護士や事務局といったスタッフ間で不協和音があると,その対応に時間をとられ,また業務に集中できないこと,その結果,スタッフのモチベーションが維持できず,業務能率が落ちることを知っています。
これに対し,弁護士や事務局といったスタッフが,一つにまとまり,協働しているときは,スタッフのモチベーションも高く,結果として,業務も進み,業績も上がるものです。

このスタッフを一つの組織にまとめ,組織として機能させることはマネジメントの課題であって,原総合法律事務所のマネジメントについては,マネージャーの別ブログが用意されているところです(所長弁護士・中小企業経営者必見!法律事務所におけるマネジメントのススメ)。

ただ,法律事務所のマーケティングの観点からは,スタッフを一つの組織にまとめるのが,事務所の理念であり,マーケティング戦略であるということが重要です。
弁護士1人に事務局1~2人というスタッフであれば,馬が合うとか,好き嫌いとかいうパーソナルなレベルでスタッフがまとまることもあると思います。
しかし,それ以上の人数の組織になったとき,全員が「仲良しクラブ」にはならないわけで,組織をまとめる軸が必要になります。
もちろん,その基盤には,労働力を提供し,それに対価を支払うという支配・従属関係があるのですが,規則で縛り,命令したからといって,組織としてまとまるわけではありません。
全てのスタッフが,事務所の理念とマーケティング戦略を理解し,それに共感し,誇りを持って業務することができれば,モチベーションは上がり,たとえ日々の業務が忙しくても,それほどストレスには感じないものです。

事務所の弁護士・事務局の全スタッフが,原総合法律事務所の理念(何度も話しているので,ここではふれません。→例えば,02 明確な事務所理念・ビジョン)に共感し,原総合法律事務所で業務をすることに誇りを持てるようにすること,それが事務所のスタッフ自身に向けてのブランディングです。
原総合法律事務所では,毎月の事務所会議で事務所理念を確認し合うのはもちろん,事務所の運営や業務に当たって,何かを考え,意見を出すときには,必ず事務所理念に照らしてどうなのかを検討するよう求めています。そうすることで,自然と事務所理念が行き渡っていくことを狙っています。
もちろん,前提として,この事務所理念が,スタッフの誇りとなり,スタッフのモチベーションを高めるようなものでなければなりません。この点では,幸い,弁護士は,基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命としているのですから,この軸を外さない限り,法律事務所の理念は,当然にスタッフの誇りとなり,スタッフのモチベーションを高めるものになるはずです。自分たちも基本的人権の擁護と社会正義の実現に関与しているという意識は,誇りとモチベーションの源になるはずです。

ところで,この記事を書くにあたって,ネットを調べていたら,こういう内部に向けてのブランディングを内部ブランディング('Internal Branding'又は'Inner Branding'というようです。
当たり前のことだとは思うのですが,整理すれば,確かに,消費者に向けての外部ブランディング('External Branding'又は'Outer Branding'と内部ブランディングがあり,外部ブランディングだけ進めても,内部ブランディングがきちんとできていなければだめだというのはそのとおりだと思います。
このブログで一貫して強調している,マーケティング戦略の基礎は事務所の理念であるというのは,まさにこの内部ブランディング-弁護士・事務局の全スタッフが理念を共有することを指しているわけです。

追記 マネージャーのマネジメントのブログでも,内部ブランディングにふれています。→こちら「内部ブランディングのススメ