2011/10/04

12 記事になるということ

12 広報を考える7-記事になるということ

事務所の取組みが,広告ではなく,記事として新聞に掲載されたり,ラジオ・テレビで報道されれば,その効果は広告とは比較にならない大きさがあります。
社会的に意味のある取組みとして認知され,広告とは異なったレベルで信用されることとなるからです。
それは,一般の読者,視聴者はもちろん,公的機関においても同様です。自治体の相談窓口などが,特定の法律事務所を紹介することは通常考えられませんが,記事になったりすると,相談者にその記事を示したりすることはあるように思います。

原総合法律事務所の例は,06と番外編で紹介しました。今年の8月から交通事故専門の相談窓口をスタートし,3回まで相談を無料としましたが,この意義を含めサービスの紹介を各メディアに投げ込んだところ,地元ではもっともシェアの大きい長崎新聞と全国紙では毎日新聞が記事として取り上げてくれました(毎日新聞の記事はこちら)。その効果もあって,交通事故の相談は,以前は月5件程度だったのですが,8月は20件,9月は11件に増え,10月はまだ1日だけですが3件の相談がありました。

では,どうすれば,メディアはニュースとして取り上げてくれるのでしょうか。
もちろん,前提として,その取組みがニュース性のあるものでなければなりません。
この点で,民間の一法律事務所の活動は,基本は商業ベースの活動とみなされ,直ちにはニュース性は認められないものです。

しかし,原総合法律事務所の理念は,公益的,公共的意味を持っています。「法的サービスを独占し,そのサービスの提供にあたって,『基本的人権の擁護と社会正義の実現』を求められる弁護士として,法的サービスにアクセスできていない市民,中小企業に対し,上質な法的サービスを提供できる事務所であること」(02)を理念とする原総合法律事務所の取組みは,その軸がぶれない限り,単なる商業ベースの活動ではないはずです。
そして,まさにその理念にしたがい,原総合法律事務所では,交通事故専門の相談窓口を置くことにしました。すなわち,交通事故の加害者は,多くの場合,いわゆる任意保険に加入しており,保険会社担当者や弁護士の示談代行サービスを受けることができる一方で,被害者は,その法的知識や経験において,これら加害者側と圧倒的な格差があり,その基本的人権の擁護と社会正義の実現のためには,弁護士の支援が必要な場合が多いといえます。そこで,そのような交通事故の被害者が利用しやすい相談窓口を作ることが事務所の理念に適うことであると考え,交通事故専門の相談窓口を設け,同一事故について3回まで無料で相談に応じることとしたのです。かつ,医療機関や自治体とのネットワークも展望しました。
このように,事務所の取組みの公益性,公共性を,まず事務所内で明確に位置付けることが,事務所の取組みにニュース性を与えるのです。

しかし,だからといって,勝手にメディアがニュース性があると考え,記事にしたり,報道する訳ではありません。
まずは,県政,市政,司法,経済等の記者クラブに,取組みの公益的,公共的性格も含めて分かりやすく説明した報道のお願いを投げ込みます。場合によっては,記者会見(記者レク)をすることも考えていいでしょう(ただ,記者が集まらないと消耗するので,安易に行うのはどうかと思います。)。
興味を持った記者から,取材の申込みがあれば,記事になる可能性は大きくなります。取材には,丁寧に応じ,十分な説明をしなければなりません。その際,その取組みの公益的,公共的性格を説明するのは当然ですが,県内で初めてとか,全国でも例を聞かないとかいうのは,ニュース性を高めます。また,その取組みの利用者(相談者,依頼者)の声(インタビュー)を出せれば,それもニュース性を高めます。
要するに,ニュースになるような情報の提供の仕方に習熟する必要があるのです。

また,前提として,社会的に注目される事件などを多く扱っていて,記者と面識があったりすると,記事になりやすいということもあるように思います。社会的に意義のある事件に関与し,常日頃,面倒くさがらずに記者の取材に応じておくことも,有効です。