2011/10/12
原総合法律事務所の理念と年間スローガン
<コラム編1>事務所の理念と年間スローガン
前々回で広報のシリーズはいったん終わることにし,次は,テーマを変えて,アクセス改善のための取組みを考えていこうと思います(書いている方も,同じテーマで書き続けるのにやや飽き気味で,違うことを書きたくなったもので)。
その前に,今回は,コラム的な単発のテーマです。
事務所の理念と年間スローガンについて考えてみたいと思います。
このブログの冒頭(02)で,マーケティング,マネジメントの基本は,明確な事務所理念を断固として貫き通すことだと宣言しました。そこから,事務所の全てのマーケティングの方針が導き出されていなければならないし,それが,事務所が提供する全てのサービスや企画,更には組織を検証する物差しになっていなけらばならないと言いました。
したがって,事務所の理念は,深化することはあっても,本来,変わるものではあり得ません。
とはいっても,事務所は,そのスタッフも変わっていけば,事務所の成熟度も変わっていきますし,事務所を取り巻く情勢も変わっていきます。
また,そもそも事務所の理念は,事務所の理想的な姿であって,永遠の目標ともいうべきものです。
そこで,事務所理念の下で,事務所のその時点における具体的な目標を明らかにし,スタッフ間で共有することが,事務所の発展のためには有効です。
原総合法律事務所では,年頭に,その年の年間スローガンを掲げ,毎月の事務所会議で確認し,問題意識の共有化を図るようにしています。
その年間スローガンを掲げるようになったのは,マーケティング戦略を打ち出した2008年からでした。
2008年は,まさにその原総合法律事務所の「マーケティング戦略」を年間スローガンに掲げ,マーケティングの意識付けとマーケティング戦略の枠組みの確立を進めた年でした。
その結果,先に紹介したように,2008年8月,原総合法律事務所のマーケティング戦略を,マーケティングの3要素にあてはめ,
(a) 質の高い法的サービスを作り,
(b) 質の高い法的サービスを提供できるという情報を広く法的ニーズをもっている人のところに届け,
(c) 法的ニーズのある人が,「いつでも,どこでも,だれでも」相談を受け,依頼できるようにする。
と定式化したのです(03)。
そして,この年,法人化をして,翌2009年1月の佐世保事務所開設の準備を進め,HP,リーフレット,広報誌・新聞広告,DVD制作等各種の広報を開始し,既に即日相談体制を実現していたのです。
この到達点をふまえた2009年の年間スローガンは,「トップランナーであり続けること」でした。
私たちは,既に2008年の実践の中で,地方の小規模事務所としては,「トップランナー」になったという自負がありました。
しかし,事務所を取り巻く情勢は変化していきますし,理想はまだ先にあるわけですし,何よりも原総合法律事務所の実践を見て,他事務所も同様の取組みを始めるだろうと思っていました(実際には,そうでもなかったのですが。)。そうであれば,原総合法律事務所は,更に事務所理念を突き詰め,新しい取組みを続け,「トップランナーであり続けること」を目指したいと考えたのです。
そこで,この年,佐世保事務所を開設し,県北地域のニーズにも答える体制をとり,ラジオCM,ラジオ番組,ラジオ局とタイアップしたイベント,長崎駅前広場の大型ビジョンでの広告など目立つ広報に力を入れ,また,各種無料相談枠を拡大しました(当時は,多重債務,相続・遺言,交通事故,離婚の4類型)。
このようないわば拡大路線に修正を加えたのが,2010年の年間スローガン「フェアなコスト意識」です。
不況が続き,弁護士が急増する中で,原総合法律事務所が理念として掲げる「いつでも,どこでも,だれにでも 上質な法的サービスを。」提供しようとすると,多数の少額の事件を受任することになるのは必然でした。
それでも「上質な法的サービス」を提供するためには,スタッフのコスト意識が不可欠です。
ただし,コスト意識を徹底すれば,利益の上がらない事件は受けないということにもなりかねません。しかし,原総合法律事務所は,「基本的人権の擁護と社会正義の実現」を理念の柱としているので,その観点からは,非効率な事件も受けるべき責務があると考えました。単なる「コスト意識」ではなく,「フェアなコスト意識」とした理由です。
加えて,「フェア」としたのは,原総合法律事務所が提供する法的サービスは,正当に評価されなければならないので,「価格破壊」や「低価格競争」とは一線を画し,適正な弁護士報酬を求めていくという意味も含んでいます。
そこで,この年は,目立つ広告を打つ時期は終わったと考え,広報の絞り込みを行い,組織の整備と業務の効率化を進め,医療過誤,交通事故等の専門分野の打出しに取り組みました。ちなみに,この組織の整備に関してですが,原総合法律事務所では,マネジメントは弁護士が行うべきではないという考えから,マネージャーが担当しています(マネージャーのブログ参照)。
そして,今年,2011年を迎え,私(所長原章夫)が2期2年の会長の任期を終え,会務が軽減されたので,改めて新しい取組みを強化しようと,「Innovation(変革)」を年間スローガンに掲げました。
実際,会長を退任した4月以降,いくつも新しい取組みを行ってきましたし,現在取り組んでいるプロジェクトもあります。これらについては,順次,紹介していきたいと思います。
このブログも,この新しいマーケティング戦略に位置付けられるものなのです。