2011/10/13
マーケティングを進める前提としてのマネジメント
<コラム編2>マーケティングを進める前提としてのマネジメント
このブログでは,マーケティングの考え方や手法を取り上げていますが,マーケティングを実際に進めるのは事務所の全てのスタッフです。所長だけでないのはもちろん,弁護士だけでもなく,事務局,それもパートも含めた全てのスタッフです。
所長弁護士だけがマーケティングを考え,マーケティングの視点で事務所を運営しようとしても,思うような成果は上げられないはずです。
事務所の全スタッフが,事務所理念を共有し,その理念に照らしてマーケティング戦略を考え,意見交換し,決まった方針を協同して実行する組織を造り上げることが,有効なマーケティングの前提です。
それが,マネジメントの視点です。
企業等にとっては当然のこのことが,法律事務所においては,ほとんど意識されていないように思われます。
ようやく,マーケティングについては,その意義が理解されつつあるようですが,マネジメントについては,更に認識が遅れているのが現状だと思います。
それは,従前の所長弁護士1人とせいぜい事務局1~2人という規模の事務所では,マネジメントを意識するまでもなかったからでしょう。
しかし,今後,弁護士が更に増え,マーケティングの手法が広まるにつれ,事務所の規模を拡大する方向は,ますます強まるでしょう。「ユーザー目線」,「サービス業の視点」から,即日相談体制は不可欠であり,そのために弁護士複数化が必要なことは,このブログの最初に強調したところです(04,05)。
そのために,弁護士の数を増やし,事務局の数を増やしていったときに,その全てのスタッフが同じ方向を向いて,協同して業務していくことの難しさが身にしみて分かると思います。法律事務所は,一般の企業にも増して,個々の弁護士に独立志向が強く(もっといえば,わがまま),また弁護士と事務局という異質な者の関係もあり,組織としてのまとまりを作るのが難しいと実感しています。
原総合法律事務所のマネジメントの方法論も,そのような経験の中で作り上げてきたものです。
しかし,このブログでは,マネジメントそのものについては取り上げません。
それは,このブログの冒頭(01)でふれたように,原総合法律事務所では,現在,弁護士でないマネージャーが組織を統轄すべきとの考えに基づき,マネジメントはマネージャーが担当しているからです。
マネージャーのブログ「所長弁護士・中小企業経営者必見! 法律事務所におけるマネジメントのススメ」の冒頭で指摘されているように,所長弁護士は,マーケティングを統括するのに加え,業務はもちろん,会務も行わなければなりません。これらは,所長弁護士でなければできない役割分担ですが,他方,マネジメントは,必ずしも弁護士が担当しなければならないものではありません。むしろ,弁護士は,組織の観点が乏しく,マネジメントは苦手な者が多いと考えています(少なくとも私はそうです。)。
そうであれば,マネジメントは,弁護士でない者が行う方が,組織にとっての負担(端的にいえば経費)が少ないといえます。
かつ,マネジメントの能力に秀でている者は,女性により多いと考えています。人の本質を見抜き,人を気持ちよく動かす配慮ができ,人のモチベーションを高めることは,女性が得意とするところです。
では,原総合法律事務所のマネジメントはどのように行われているのか,ぜひ,マネージャーのブログ「所長弁護士・中小企業経営者必見! 法律事務所におけるマネジメントのススメ」を覗いてみてください。
原総合法律事務所のマネジメントの具体的な方法が,詳しく紹介されています。
また,そのようにして造り上げられた原総合法律事務所のスタッフの生き生きとした様子が伝わるのではないかと思います(ボツネタも含めて。)。
面白げな話題に読者の関心が偏っているきらいがなきにしもあらずですが,それらも含めて,マネジメントだということで。。。
そのようにマネジメントされた原総合法律事務所の弁護士,事務局が,事務所理念のもと,同じ方向を向いて進んでいることは,この所長のブログとマネージャーのブログに加え,佐世保事務所のブログ「佐世保の弁護士・スタッフが贈る~HLOブログマガジン~」と長崎事務所事務局のブログ「弁護士を支え思考する事務局~法律事務所の改善提案!~」も見ていただければ分かると思います。佐世保事務所のブログは佐世保事務所の弁護士・事務局が交代で,長崎事務所事務局のブログは長崎事務所事務局が交代で書いているのですが,一人が書いていると思いませんでしたか。そう見えたとすれば,それは,事務所理念という「軸」が,全スタッフに浸透している,マネジメントの到達点なのです。